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従業員持株会の話

“従業員持株会”や“自社株制度”など名称は会社によって様々ですが、「入社したときに勧められたから」、「上司や同期が入っているから」といった理由でなんとなく参加している人も多いかもしれません。自分が勤める会社の株式をこの先何年もずっと買い続けていくこの制度について、ちょっと考えてみます。 

 

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従業員持株会とは

 

従業員持株会(以下 持株会)とは、会社が従業員(社員)に自社の株式を購入させる、保有させる制度のことをいいます。会社が持株会を設立し、従業員が会員になります。持株会の参加はあくまで任意です。

 

会員は、毎月自分で決めた一定額を持株会に出資します。そして、持株会がまとめて自社株を購入し、出資額にあわせて会員に株式を分配します。上場企業の場合は原則として時価で購入することになりますが、福利厚生の一環として会社が一部補助を行うこともあります。また、非上場企業であっても持株会を導入している会社もあります。

 

 

会社のメリット

 

持株会の会社にとってのメリットは、安定株主を持つことができるということです。持株会が保有する株が多ければ多いほど、株価は下がりにくくなり、会社は安定した経営ができます。また、社員は社外の株主とは違い、株主総会で発言したり、取締役を解任したりはしません。このようなメリットから、この制度は多くの会社で採用されています。

 

 

会員のメリット

 

上場企業では、出資額の5%~10%程度を奨励金として給付する場合があります。この奨励金により、時価(市場価格)よりも安い価格で株式を購入することができます。報奨金が給付される毎月の出資額の上限は、企業によって異なります。

 

奨励金の他にも、会員のメリットはいくつかあります。インサイダー取引を防止するため、原則として社員は自分の会社の株式を売買することができません。しかし、持株会においては、法令に従い毎月決められたタイミングで購入するためインサイダー取引にあたりません。また、毎月の給与から天引きされるため、自動的に株式を積み立てることができますし、自分の会社の株主になることで、業績や配当を意識し、仕事へのモチベーションも上がります。

 

 

会員のデメリット・リスク

 

持株会の場合は、株式の売買のタイミングを自分で決められません。株価が高くても安くても毎月自動的に購入されてしまいます。また、景気が悪化したときや災害が発生したときなど、明らかに株価の下落が予想されるときでも即座に株式を売却することはできません。売却には持株会を通した手続きが必要です。つまり、株式を自分で管理することができないのです。

 

株価は変動するため、暴落する可能性もあります。バブル崩壊以前の高度経済成長期のように、インフレが進み、株価が上がり続ければ問題ありません。しかし今は低成長期であり、株式を保有することで損をする可能性もあります。持株会で自社の株式を購入することも、貯蓄ではなく投資であるということを理解しておかなければなりません。

 

そして持株会の最大のリスクは、給与と資産の両方を自分の会社に依存することです。もし会社の業績が悪化すれば、給与や賞与は下がり、当然ながら株価も下がります。資産を自社の株式だけに集中させていると、最悪の場合、仕事も資産も同時に失うことになります。

 

 

入会するべきとき

 

今後自社の株価が上がると確信しているときは、入会するべきときです。具体的には、会社の収益は多く、借金は少なく、配当金を出し、そして極端に株価が低いときです。あるいは、好景気に入り、インフレが進み、株価が上がり続けるようなときは、現金の価値は目減りするため、株式を保有していた方がいいでしょう。

 

 

持株会以外の選択肢

 

持株会以外にも資産運用の方法はたくさんあります。インターネットの台頭で簡単に株式を売買することが可能になりました。自社の株式にこだわりがなければ、成長性、配当金や株主優待制度など、 魅力的な他社の株式を選択して購入する方がいいでしょう。また、少額投資非課税制度(NISA)という免税制度も利用できます。

 

貯金預金、確定拠出年金、積立投資信託など、それぞれにメリットとデメリットがあります。投資においては、分散投資が重要であるとよく言われます。持株会だけでは心配なので、他の資産も確保しておきたいですね。